倍率60倍超を突破した、製造業の就活で勝つ技術「スナイパー転職」

本記事を執筆した管理人TAKは、倍率60倍超の選考を突破しNEXCOに入社、その後キャリア官僚となる公務員総合職試験を面接ともに合格も辞退し、製造業に転職した経験から、製造業に特化した転職情報を発信しています。

twitterアカウントのフォロワーは4000を突破し、機械加工の情報サイト「キカイネット」は月間PV5万を越えました。

管理人TAKのキャリアについてはプロフィールページでご紹介しています。

本記事では、NEXCOの選考や、公務員総合職試験の面接を突破した過程で身につけた「転職活動で勝つ技術」を、加工技術者として働く経験をもとに製造業版にアレンジし、惜しみなく公開しました!

転職の書類選考・面接の両方に共通する、非常に重要なことを書いていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次
 エントリー

本当に相手の求める人材であることのアピールができていますか?

私は、転職活動において最も大切なのは「私はあなたの求めている人材です」ということを分かってもらうことだと考えています。

当然のことと感じるかと思いますが、私がこれまで様々な方の転職活動を目にしてきた中で、以下のような方々が目立ちました。

・履歴書の自己PRを、全ての企業で使いまわしている

・面接時の自己PRも、どの企業でも同じようなことを喋っている

これでは企業への内定率は大きく下がってしまいます。

それは、「企業の求める人材」は企業ごとに違うため、使い回しではどう頑張ってもその点をアピールができないからです。

企業の求める人材であることをアピールする「スナイパー転職」

私の経験上、製造業の転職活動で最も重視するべきなのは自分は相手企業のニーズに合った人材だということをアピールすることです。

そのために、事前に企業のニーズをしっかり把握し、選考書類や面接の発言の際に、そのニーズを満たすアピールワードを散りばめます

この方法を、スナイパーのように企業の急所(ニーズ)を狙いすまして撃ち抜くという意味から「スナイパー転職」と読んでいます。

このスナイパー転職が、私が製造業の就活で勝つ技術の一番重要な部分です。

では早速本題に入りますが、企業の求める人材ということをアピールするためには、どのように自分を売り込んでいけば良いでしょうか?

そのためには、2つのステップで相手企業のニーズをしっかりと把握する必要があります。

ステップ1:募集要項から企業の欲しい人材像を抽出する

企業が最も欲しがっている人材像、つまり企業のニーズを知ることにおいて、いちばん重要なところは多くの場合募集要項に書いてあります。

募集要項の「仕事内容」や、「求めている人材」から、企業のニーズを抽出します。

実際にやってみるとわかりやすいですので、具体的に例を見てみましょう。

(日産クリエイティブサービス 生産技術職の求人) 

仕事内容
<日産の設備・研修もフル活用>◇エンジン・サスペンション・モーターユニットなどの生産技術・エンジニア

【具体的には】 
生産技術及びエンジニアとして街を走る新型モデルの日産車など 
自分の仕事の成果も自然と目にすることができます。 
自分で計画したラインが立ち上がったときの感動を味わってください。 

<ラインの新設及び改造> 
ライン構想検討 
日程表の作成&管理 
仕様検討&作成 
見積取得&発注 
設置&試加工・立上げ 

<既存ラインの改善> 
ロボット導入などの省人化(オートメーション化) 
品質向上(NCプログラム改善によるサイクルタイムの短縮など) 
トラブルシューティング 

<募集業種> 
機械加工、プレス溶接、鋳造、金型における生産技術業務

求めている人材
◇大卒(理系)以上 ■生産技術(設備導入・改造、改善)経験者優遇

【具体的には】
業界・職種未経験の方歓迎

日産ブランドのもとで、安定したキャリアを築きたい人を募集しています。
NISSANを支える技術メンバーの一員として活躍しませんか。

<こんな方は歓迎>
□コミュニケーションを大切にできる方
□妥協せず、より良いものづくりに取り組める方
□「もっとこうした方がいい」とアイデアを発信したい方

<優遇する経験・スキル>
□生産技術経験者(自動車以外でも可)
□Excel等の基本的なパソコンスキルがある方
□CADの操作経験がある方

リクナビネクストより引用

例としてNISSAN系求人の募集要項を引用しました。さて、このような情報からどのように企業のニーズを把握すれば良いでしょうか?

募集要項から抽出できるポイント

・職種は生産技術職
・仕事内容はライン構想検討 、日程表の作成&管理 、仕様検討&作成 、見積取得&発注 、設置&試加工・立上げ、ロボット導入などの省人化 、品質向上(NCプログラム改善によるサイクルタイムの短縮など) 
・生産技術(設備導入・改造、改善)経験者優遇
・業種は機械加工、プレス溶接、鋳造、金型
・CADの操作経験

以上が企業のニーズを見出すヒントになるポイントです。

極論、これら全ての経験と十分な実績がある人がいれば、即採用といっても良いくらいでしょう。

これを選ぶ際のポイントは、他の応募者と差別化できそうな点を抽出することです。

例えば「□Excel等の基本的なパソコンスキルがある方」と書いてあるからといって、「基本的なエクセル操作ができます!」ということをアピールしても、ほぼ誰にでもできることなので何の優位性もありませんからね。

さらに、同じ求人が載っている別の転職サイトを見るのも有効です。
同じ求人内容でも、募集要項に書かれている内容が違うことがあります。

その全てを見ておくことで、より高精度に相手のニーズを把握することができます。

ステップ2:企業研究で、企業の隠されたニーズを見つけ出す

企業のニーズが見つかるのは、募集要項の中だけではありません。

ニュースや企業ホームページからも、隠れたニーズを見つけることができます。

いわゆる企業研究です。

募集要項以外から企業のニーズを見つけてアピールすることは意外と見落としがちなポイントですので、ここをしっかり行っておくことでライバルと差をつけることができます。

企業公式ホームページから隠されたニーズを見つける

まずは公式ホームページから探ってみます。

具体例を見てみましょう。例えば日産クリエイティブサービス社の場合です。

日産クリエイティブサービスの公式HP

この企業HPから企業ニーズを抽出するにあたって、私が注目したポイントが2つあります。

①「安全と健康」と②「中期経営計画」の項目です。

「安全と健康」の項目は、会社概要や拠点一覧などの必要情報が並んでいる中で、明らかに異質な項目です。

このメニューを見るだけでも、安全と健康経営(コンプライアンス)が経営上重要視されているということが読み取れます。

日産クリエイティブサービス安全方針のページ

特に自動車メーカーは人命を守る車を製造する立場にあることから、現場で怪我をするような事故が発生してしまうと信頼が失われ、経営上大きくマイナスとなってしまうのを危惧していることが予測できます。

次に注目したのが中期経営計画です。下の画像をコンセプトとして、中期経営計画としていました。

ここにも土台として安全・コンプライアンスと記載があることから、経営上この点を特に重要視していることが分かります。

安全や法令を守るコンプライアンス意識を高められた経験があれば、アピールすることで好印象になる可能性があります。

ニュースから隠されたニーズを見つける

大きい企業に限られますが、隠されたニーズはニュースからも見つけることができます。

私がNEXCOに就職した当時も、笹子トンネル天井版落下事故の後だったため、高速道路の安全に寄与する仕事への意欲を示したことで高評価を得ました。

例えばNISSANグループの場合を見てみます。

記憶にある方も多いかと思いますが、NISSANは、2017年に無資格者検査問題、2018年に排気ガス性能検査結果改ざん、ブレーキ検査の数値かさ上げと、不祥事が連続しています。

そのため、ミスを隠すなどの行動は絶対にNGの環境下で、信頼されていたことがわかる実績をアピールすれば評価されやすいことが推測できます。
これは、中期経営計画の土台ともなっていたコンプライアンスにも通ずるところですね。

ホームページ・ニュースから読み取った、隠れたニーズ

・現場の安全性を向上した実績
・ミス隠し等を防ぐ仕組みづくりの実績、実直な仕事で信頼された実績

ニーズに合った実績をアピールする

以上で企業のニーズ洗い出しが終わりました。

ここからは、この企業ニーズに合わせるかたちで自分の実績・経験をアピールしていきます。

アピールポイントを考えるにあたって、もう一度これまでにまとめたポイントを掲載しておきますね。

募集要項から抽出できるポイント

・職種は生産技術職
・仕事内容はライン構想検討 、日程表の作成&管理 、仕様検討&作成 、見積取得&発注 、設置&試加工・立上げ、ロボット導入などの省人化 、品質向上(NCプログラム改善によるサイクルタイムの短縮など) 
・生産技術(設備導入・改造、改善)経験者優遇
・業種は機械加工、プレス溶接、鋳造、金型
・CADの操作経験

ホームページ・ニュースから読み取った、隠れたニーズ

・現場の安全性を向上した実績
・ミス隠し等を防ぐ仕組みづくりの実績、実直な仕事で信頼された実績

ここからは各々の経験に沿ったアピールが必要になりますので、できるだけ書き出したニーズに寄せるかたちで実績の書き方を考えてみましょう。

例えば筆者の場合、NC旋盤の段取り経験、プログラム、CADの操作経験、工具選定、機械導入補助、後輩指導etc..といった経験がありますが、この企業に合わせたアピールポイントを考えたとき、例えばこのようになります。

・NC旋盤のNCプログラム改善によって、サイクルタイムを30%短縮した経験があります。

「NCプラグラムの改善によるサイクルタイムの短縮」という企業のニーズに合わせたアピールポイントとして、この実績を選びました。

面接対策として、具体的なエピソードも準備しておく

職務経歴書にはこのように記載すれば良いですが、面接時に聞かれた場合のために、より具体的なエピソードも準備しておきましょう。

面接で聞かれた際の答え方も、一度書き起こして準備しておいたほうが良いです。

「NC旋盤のNCプログラム改善によって、サイクルタイムを30%短縮しました。
私の勤務先は昔ながらの経験に頼った加工を行う町工場だったため、数物の加工でも単品ものと同じ切削条件で加工することが多く、サイクルタイムのロスが発生していました。
あるS45Cのワークでは、Uドリル・外径切削の加工条件を1.4倍に上げ、さらにステップをなくしたことで、工具寿命を落とさずにサイクルタイムの短縮を実現し、評価を受けた経験がございます。」

「また、棒材から複数個加工するワークでは、当初メタルソーで手作業で切断していたものを溝入れバイトで突っ切る方法に変更し、トータルでの加工時間を約25%短縮しました。」

具体的に記載してみるとこのようになります。

面接時に注意したいのが、書き起こした文章を一言一句違えずに話そうと思わないことです。

自分で考えて書き起こした時点で、概要は頭に入っているはずです。あくまで会話をしているということを念頭に置き、自然に話すようにしましょう。

また、今回の場合、私自身は生産技術の経験がないためこのようなアピールを一例として出しましたが、生産技術の経験があればそれを全面に押し出すべきということは言うまでもありませんね。

職務経歴書の参考例

職務経歴書の構成例として、非常に参考になるものを用意しました。

Amazon総合・ビジネス書ランキング1位にもなった「転職と副業のかけ算」という書籍から引用したものです。

職務内容

 営業マネジャーを約2年経験。メンバー4名をマネジメント。
国内No.1のXXXXサービスである来店アプリの新規開拓営業に従事。
全国の小売企業(コンビニエンスストア・ドラッグストア・スーパーマーケット)を中心に、業態、規模、経営者の特性に合わせたアプローチを行い、新規開営業に従事。年間XX,XXX店舗を開拓。

実績

 201X年X月からスタートした来店アプリの初年度売り上げ目標は、チーム全体でXX,XXX万円、個人ではX,XXX万円に設定。
個人として目標達成するための戦略として、小売り業界のなかでもスマートフォントレンドに敏感なユーザーの多い「アパレル業界」や「ドラッグストア」を攻めることを選択。
ブランド力が高く、業界内で影響力を持つクライアントをターゲットに営業を開始。
最大手企業の加盟を機に、雪崩式に競合企業が導入していく流れを作る作戦を実行。
短期間で結果を出すため、営業手法はトップアプローチを選択。
手紙やテレアポ、紹介などを通じて、経営者に直接営業を実施。
結果として、ドラッグストア大手であるXX社とXX社で導入が決定。
この実績を基に、コンビニエンスストアや大手スーパーマーケットの開拓に成功した。
この結果を持って、メンバー全員にトップアプローチの手法を共有。
メンバー全員が、初回から経営者やキーマンとコンタクトしてアプローチできたことで、チーム全体の目標達成にも繋げることができた。
この新規開拓手法は、チームメンバーにおいても再現性があったため、他業界でも展開できると考えており、これまでアプローチできなかった企業の開拓に役立つと考えています。

転職と副業のかけ算

この職務経歴書は、新規顧客を開拓するための営業手法にフォーカスして書かれていますね。

「この実績があれば、ウチでも新規顧客を開拓できる」と思わせるような、他の人には真似できないかたちでの実績を書くことで、採用の可能性をぐっと高めています。

例の「トップアプローチ」の手法の部分がそれですね。他の人には容易には真似できませんし、結果が伴っています。

これを製造業で考えるなら、例えば「マクロプログラムを自主的に制作し、職場全体のヘリカル制御・トロコイドのプログラム作成時間3割削減を達成」といった内容になります。

製造業の職務経歴書ですので、営業実績を〇〇%生産効率化やコストダウンといったかたちに書き換え、まずは同様の構成で作るようにすればイメージが湧きやすいと思います。

企業目線で実績をアピール

面接や履歴書で自己PRを行う際「入社したい理由」「こんな仕事をしたい」といったことを話してしまいがちです。

ですが、転職希望者がどのような志望理由で入社するかは、企業にとってはそれほど重要なことではありません。

それよりも「自分なら利益をこうやって伸ばせる」というプロセスを、なるべく具体的に話したほうが印象は良くなります

それが企業のニーズに合った利益の伸ばし方なら、さらに印象は良いでしょう。

自分目線ではなく、企業がなぜ今新規採用を考えているのか、企業目線で企業の目的に合った実績をアピールすることで、採用の可能性はグッと高まります。

一番大事なのは実績を積むこと

本手法「スナイパー転職」は、希望の会社に入社するために大変有効なテクニックです。

ですが、これを活用したからといって自分の実績が増えるわけではありません。

決して自分の実績を過剰に盛ってアピールするのはやめましょう。

雇用のミスマッチを生み、自分自身も経営者もつらい思いをすることになります。

まずは今の仕事で実績を積むこと、そしてそれを活かした転職活動を行いましょう。

もし自分の実績に自信が持てなくても、毎日仕事に取り組む中で身についた、他社に求められているスキルは必ずあります。

自社内は当たり前のことでも、外に出ると求められているスキルということはよくあることです。

自分のやってきたことと企業のニーズを照らし合わせ、上手く組み合わせてアピールしていきましょう。

 エントリー

コメント

コメントする

目次